「コスト削減」はどのような会社においても、利益を増やしていくためには欠かせないものです。しかし、日本の製造業では、効果的なコスト削減が進んでいるとは言えず、収益性が低い状態だと言われています。製造業における適切なコスト削減方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

そこで今回は、製造業におけるコスト削減のポイントや削減のしやすさの分析、削減の手順についてご紹介します。

1、製造業におけるコスト削減の現状

景気の低迷が長く続いていることから、日本企業の多くは、コスト削減に邁進してきました。しかし、製造業に関しては、コスト削減がうまく進んでいない状況にあります。
設備に対するROA(総資産利益率)に目を向けると、日本の製造業はアメリカやドイツなどのヨーロッパ先進国に比べると非常に低い水準であることが分かります。これは、製造を行っている工場の設備が、かけた費用に対して十分に稼働できていないことを意味しています。日本の製造業においてROAが低い要因の1つには、「コスト削減」という目標を意識するあまり、設備投資自体に消極的になっていることがあります。最新の設備への切り替えは、長期的に見ればコストを削減し生産性を高めるものです。コスト削減とは短期的な出費を減らすことだけではありません。必要な投資を行うことで費用対効果を高くするといった長期的なビジョンに基づいた施策こそが必要といえます。
もう1つの要因が、「このコストから削減すべき」という優先度について、社内で共通意識が持てていないことです。結果として減らすべきコストが減らせず、収益性を改善できていない状況に陥っています。
企業にとってコストを抱えることからは避けられませんが、減らすことは可能です。削減したコストはそのまま「純利益」の増加につながり、企業の収益性は改善されるでしょう。企業にとってコストの削減は、今後の成長のために無視できない重要な課題なのです。

2、製造業におけるコスト

製造業におけるコストには、削減がしやすい(見込める)ものと、削減がしにくい(見込めない)ものがあります。前者は当然取り組む優先度は高いです。一方で後者は、自社の都合だけでは削減できない場合もあるので優先度は低くなります。

<削減がしやすい(見込める)コスト>

水道光熱費                                  

なかでも大量の電気を使うような大規模な工場などでは、電気料金は取り組み次第でかなりの削減が期待できます。一番初めに着手したい箇所といってもいいでしょう。

通信費                                   

企業が契約しているインターネット回線や、携帯電話・スマートフォンなどの料金です。

消耗品費                                   

筆記用具やコピー用紙などの、金額は低いものの短期間で使い切ってしまうものの費用です。

交通費                                    

従業員の通勤費用や出張費、社用車の購入代金・維持費、タクシー代などがこれに当たります。

<削減がしにくい(見込めない)コスト>

仕入れ費用                                  

製造業において材料にかかる費用はかなり大きな割合を占めます。しかし、仕入れ費用は取引先との交渉で決定するものであって、自社だけで決めることはできないのでコスト削減としての優先度は低くなります。

人件費                                    

人件費削減のために賃金をカットしたり、リストラを増やせば確かにコストは削減できます。しかし、人材確保や社員のモチベーション維持の側面から見れば、長期的にはマイナスの効果をもたらす可能性が高いです。

賃料                                     

これも仕入れ費用と同様に、自社だけでは決められることではないため、優先度は低いです。・研究開発費研究開発費は自社の決定だけで下げることは可能ですが、会社の今後の成長のためには削減すべきではありません。

税金                                     

節税すること自体は悪いことではありません。ですがそれにも限度があり、行き過ぎれば脱税ということにもなりかねませんので、大きな削減は見込めないでしょう。

3、コスト削減の方法

上で述べた、削減がしやすい(見込める)コストのそれぞれの具体的な削減方法をご紹介します。
光熱費の削減                                 

水道光熱費の中でも、電気代の3割ほどを占めるとされる照明に関する費用の削減には、蛍光灯からLED への変更が有効です。新しくLEDを購入する費用を考えても長期的にはコストダウンが見込めます。さらに、機種の古いエアコンを省エネ効率の高い最新の機種に変えることでも電気代を削減することができます。
水道代の削減に関しては、井戸を掘って地下水を利用する、自家水道システムを導入するといった方法もあります。

通信費の削減                                 

インターネットや携帯電話・スマホの契約プランを見直してみることが大切です。定期的に運用状況をチェックすることで、よりお得なプランに切り替えたり、MVNO(格安SIM)に変更するということも選択肢の1つです。

消耗品費の削減                         

消耗品に関しては、一つひとつを安価なものに切り替えたり一人ひとりが節約を心がけたりするだけで、ある程度のコスト削減効果が期待できますし、ITツールを導入したり、ペーパーレス化を進めていけばで、筆記用具やコピー用紙などの事務用品自体を使わない方向へシフトさせていくことも可能です。

交通費の削減                                 

製造業においてはテレワークやリモートワークができないので、従業員の通勤費用を削るのは難しいです。社用車や営業車にかかる費用を検討してみましょう。使用頻度が高くないのであれば、カーシェアリングに切り替えてみてもいいかもしれません。また、Web会議システムを導入すればムダな交通費を抑えることができます。

まとめ

製造業において、コスト削減を実現するためには、従業員の協力が必要不可欠です。まずはコスト削減する理由を明確にして共通意識を持ちながら、従業員とともにコストを削減できる体制を整えましょう。また、長期的な視点で取り組みを続けていくことも大切です。

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