企業がより多くの利益を出すためには、売上を多く上げるか、コストを削減するかのどちらかが必要です。
特に多くのコストをかかえる飲食店においては、いかにコストを抑え、売上の中から利益を確保していくかということを考えることがとても重要です。また、新型コロナの感染拡大が影響している今、飲食店経営ではコスト削減がより重要視されています。しかしむやみにコストを削減してしまうと、メニューやサービスの質まで落とすという最悪のことにもなりかねません。売上もコストも営業努力などによって上下するものですが、コスト削減は今すぐに取り組める方法もあり、利益増大のためには速やかに取り組み始める方がいいでしょう。
今回は飲食業における経費削減のポイントについて解説します。

1、飲食業でかかるコスト

飲食店に限らず、会社が事業を行ううえで発生する経費は、変動費と固定費に分けられます。

変動費(売上の増減と無関係に発生するコスト) →食材費、人件費、販促費(広告・宣伝費)、水道光熱費、消耗品費、修繕費、交通費、研修費、交際費など                  

固定費(時期や売り上げによって増減するコスト) →家賃(店舗や本部の賃料)、通信費、保険料、減価償却費、支払利息、物品リース料など

もし飲食店のコスト削減に取り組むなら、変動費よりこの固定費を優先して考えるべきです。なぜなら、変動費の削減は方法が限られるうえ、商品やサービスの質に直結するケースが多いためです。一方、固定費の削減であれば対策が豊富で、商品の質にも影響を与えません。

2、コスト削減の方法

次に、飲食店における主なコストの削減方法をご紹介します。
原材料費の削減                                

原材料費の見直しには、まず「何を、どこから、何のために」仕入れるのかを整理しましょう。仕入れが整理されれば、見直しの余地がどこにあるのかはっきりします。

整理の際に、食品の質が過度に低下しないかも併せて確認しましょう。低コストで高品質な食材を仕入れることのできるサービスがあれば、できる限り利用したいところです。

次に、1つの原材料の仕入先が分散していないか確認しましょう。一回に仕入れる量が多ければ多いほど、割引が効くことが多く単価の低減が見込めます。「サプライヤーが分散しているなら最も安いサプライヤーに集約する」「調達時期が分散しているならばなるべく一つにまとめる」などの工夫を検討すると、コスト削減に繋げることができます。

また、コスト削減の際には食品のロスを無くすことも大切です。ロスを減らすには在庫管理を徹底し、在庫を可視化することが重要です。廃棄のある食材を見つけ出し、仕入れ量を適切に管理することで、コスト削減を実現できます。

賃料の削減                                  

飲食店の家賃は、売上に対し10%以下に抑えることが理想です。これ以上の家賃を払っているのであれば、賃料の見直しを検討した方が良い場合もあります。家賃は売上が少なくても、休日が何日あっても毎月同じ額を支払う必要があるので、家賃の適正化は必ず行いましょう。

賃料の見直しの基本は建物のオーナーとの価格交渉で、ポイントはタイミングと期間です。

例えば、新規賃貸の場合は賃貸主にとって「借り手がいない」状態が一番の痛手でしょう。そこに注目し、借り手が見つかっていないタイミングで交渉に臨み、長期契約を交渉条件として提示することで、価格交渉がうまくいく可能性も高まります。

また、現在借りている賃貸では、価格交渉をすることで、貸主との関係悪化を危ぶむ経営者も少なくありません。しかし、そうしたときに役立つ、賃料適正化のための外部コンサルティングサービスを展開している企業もあります。コンサルティングサービスでは、現在契約している物件を法的根拠に基づいて一般の家賃相場に適正化させることができ、不要なトラブルも避けられます。

移転することも削減方法の一つです。移転先を選ぶ上で留意する点は、「立地」「築年数」「面積」です。お店の客層にあった立地になっているか、また築年数が多い建物でも良いのであれば古めの建物も視野に入れてみるのも良いでしょう。また、必要な面積を算出し、その面積に見合った物件を探すことも有効となります。

水道光熱費の削減                               

水道光熱費とは、電気代やガス代、灯油代、電球ランプ代などの、店舗活動に必要なエネルギーを購入するためにかかる費用である光熱費と、水道料金によって構成される費用のことです。どの費用により多くの料金が掛かっているのかを把握することで対策を検討できます。

電気代は、多様なプラン・企業の中から、自社の用途に合わせてサービスを選択することで削減が可能です。多くの電気会社の選択肢がある現在、電気料金比較をしてくれる代理店を活用すると便利です。代理店を活用し見積もりを取って比較することで、最適な料金プランを選択しコスト削減に繋げることができます。

また節電器具や節水機器を導入することにより電気代や水道代を削減することができるかもしれません。

人件費の削減                                 

飲食店経営の大きな特徴は、時期や時間ごとの繁閑差が大きいことです。繁閑差に応じて、時期や時間ごとに人員配置を変更することで人件費の削減に繋がることがあります。

また、アルバイトを上手く活用することでも繁閑調整が可能です。たとえば、比較的忙しい忘年会シーズンや新年会シーズンは、短期アルバイトを多く雇ってシフトにたくさん入ってもらい、それほど忙しくないときは人員を減らすことで、労働力が余っているという状況を回避することができます。

まとめ

飲食店経営にかかる経費はたくさんあります。まずはどのような経費があるのか、どれぐらい削減するべきかを明確に洗い出して、できるところからどんどん削減していくべきです。

コスト削減を成功させるための正解は一つではありません。また、コスト削減によって、商品の質が落ちたり営業に支障をきたしては本末転倒です。それぞれのお店にあったやり方、レベルなどを見つけ出し、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。

弊社では、業務効率化・コスト削減を目指すお客様のサポートを行っております。ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。