今日、業務効率化や経費削減を目的にペーパーレスを導入する企業が増えています。そしてそれらの動きはサステナブルなビジネスが求められたり、コロナ禍で在宅勤務が広がったことでより一層高まっています。今回は、ペーパーレスの導入によるメリットとデメリットに注目しながら、ペーパーレスを活用した会社のコスト削減についてお伝えしていきます。
ペーパーレス化とは
そもそも「ペーパーレス」とは、その名の通り、ビジネスなどに用いられる契約書などを、紙媒体に印刷することなく、PDFデータなどのデータに変換し、会社同士での契約の締結などを行うことを指します。
2016年に実施された税制の改正によって、既存の「電子帳簿保存法」の要件が緩和されたことで、これまでは法律の観点から実用が局所的とされてきた契約書の電子化などにおいても、ある程度の自由なやり取りが許されるようになりました。
近ごろでは、新型コロナウイルスの影響によってテレワークの需要が高まったこともあり、タブレットやスマートフォンなどのデジタルデバイスを既存の紙媒体として代替させようとする取り組みが活発化を始めています。

ペーパーレス化が必要とされる理由
近年労働力人口の減少に伴い、限られた労働力を最大限効率的に活用する働き方改革が必要となっています。ペーパーレス化もその取り組みの一環として組み込まれており、効率性の向上という観点から見ると現場だけでなく経営者目線からも重要な取り組みです。昨今は在宅勤務やモバイルワークなどのテレワークを推進している企業も増えてきましたが、資料の電子化が進むことでより円滑にテレワークを実施できます。
紙による文書管理は、情報伝達手段として優れていますが、現場では間接作業として印刷、捺印、確認等の業務負荷が生じます。本来の仕事に充てるべき時間的資源がこれらに割かれており、効率性を下げている要因となっています。
ペーパーレス化を実現した場合、紙による文書管理によって割かれていた時間を別の仕事に充てることができます。
またペーパーレス化には効率性の向上以外にも保管スペースの削減が可能です。ペーパーレス化を実現した場合、文書は電子化されるため、文書へのアクセスはPCなどの電子機器があれば十分であり、文書管理のために会社に出社する必要がなくなります。
メリット・デメリット
【メリット】
ペーパーレスを実施することによって一体どのようなメリットを見込むことができるのでしょうか。
ここからは、ペーパーレスを実施することで得られる主な3つのメリットについてご紹介します。
①印刷コストの削減
ペーパーレス化によって得られるメリットのひとつはコスト削減です。紙を使わないことで、印刷や郵送にかかる費用がかからなくなります。削減できる主なコストは以下の通りです。
・用紙代やトナー代
・プリンターのリース代やメンテナンス費用
・キャビネットの調達・管理費用
・書類の郵送費用
・書類の廃棄費用
また、紙を印刷・保存しなくなることで大部分のキャビネットが不要になり、結果的にオフィスの省スペース化やレイアウトの効率化にもつながります。

②業務の効率化
たとえば過去の書類が必要になって探す場合、紙であれば一枚ずつ確認しなければならないため時間がかかってしまいますが、電子化すればキーワード検索で見つけることができるようになります。また、資料へのアクセスや、アップロード、共有も場所を選ばずできるようになるため、オフィスへの移動時間を削減して効率的に仕事を進められます。書類をバインダーにファイリングしたり、そのバインダーを整理するための手間もかからないので書類整理の手間も不要です。
③セキュリティの強化
紙で文書を作成すると、キャビネットに鍵をかけるなどの物理的なセキュリティ対策と継続的なコスト投下を要します。また、破損や消失が起こることも懸念点です。この点ペーパーレスなら、コスト投下を抑えて以下のようなセキュリティ対策効果が得られます。
・パスワードやアクセス権限の設定によりファイルの改ざんや盗難を防止できる
・ファイルをクラウドストレージに保存すれば、自社サーバーへの不正アクセスによる情報漏えいも防止できる
・災害や経年劣化による破損や消失が起こらない。ファイルはクラウド上にバックアップでき、復元も容易
【デメリット】
ペーパーレスには、上記のようなメリットがある一方、注意しなければならないデメリットも存在します。
①導入に費用がかかる
ペーパーレスを導入するためには、電子化された資料を読むための端末(個人用パソコンやタブレット、スマートフォン)と、データを送受信するためのネットワーク整備が必要です。多くのデータを保管するのであれば、大容量のクラウドやサーバーを契約しなければならず、定期的に利用料がかかります。また、現時点で大量の紙の資料があり、それらをスキャナーなどで電子化する場合は、工数が大きく膨らみます。

②視認性が落ちる
電子データの場合、一覧できるファイルの大きさや量は、ディスプレイの画面サイズや枚数に依存します。大きな図面の全体像を把握したいときや、複数のファイルを同時に見比べたいときなど、不便に感じることもあるでしょう。
この点、紙ならデスクに資料を並べて見比べるのは容易です。全体像を把握するために縮小する必要もありません。電子データが紙に比べてドキュメントの一覧性に劣ることは、業務内容によってはネックです。
③ITへの理解が必要
システム整備をしても社員のITリテラシーが不足していてはシステムを使いこなせません。簡単に操作方法を覚える社員もいれば、なかなかツールに馴染めない社員もいるでしょう。インターフェースが分かりにくいツールや操作方法の複雑なツールを導入すると、ペーパーレスは社内に浸透しにくい場合があります。
まとめ
テレワークの普及やSDGsの影響もあって世界的にペーパーレスの常識化が進んでおり、多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいいます。デメリットはあるものの、ペーパーレス化を実現できれば、経費削減や資料の検索性の向上、資料の紛失リスクの低減など、会社の従業員全員に大きなメリットがあります。トップダウンで進めながらも、現場の声を取り入れて、現実的かつ継続可能なペーパーレス化を徐々に進めていきましょう。

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