いまだ猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、売上を上げることが難しい業種もあるなかで、コスト削減を迫られる企業も少なくありません。特に営業部門においては、理想的な売上とコスト削減のバランスに頭を抱えている担当者も多いのではないでしょうか。会社にとって非常に大きな費用が営業コストです。営業マンを何人も雇っている場合だと、それだけで高額な経費が出ていくようになります。利益を出すためには、売上を作るだけでなく無駄な経費を減らさなければいけません。生産性を落とさずにコスト削減を行うためには、従来の営業活動そのものを見直し、効率化を図る必要があります。コスト削減とパフォーマンス向上のバランスを探るためにも、営業経費について正しく知っておきましょう。

営業コストとは

そもそも「営業コスト」とは何のために把握することが必要なのでしょうか。税制上の仕組みと営業コストに含まれるもの・含まれないものを解説します。

経費とは「事業を継続させるため・売上につなげるために必要な費用」のことです。納税額は「(売上-経費)×税率」で算出されるので、企業が納税の義務を正しく果たすためには、月ごとに経費を積算することが大切です。
営業活動では、客先への移動・接待・プレゼン資料作成などで費用が発生することがあると思います。それぞれについて、営業経費として認められるかどうか、税制上の区分と会社のルールを知っておきましょう。
事業に関係のないプライベートな支出を経費として計上すると、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税などのペナルティが課されることがあります。税務署に「脱税」と判断されてしまっては、会社の信用問題に影響する事案となるため注意が必要です。

【営業コストに含まれるもの】
営業コストは「事業・売上に関わるものかどうか」という判断基準で処理されることになります。営業活動での支出について、営業コストに含まれるものをみていきましょう。

・旅費交通費
客先への訪問や仕入れ・集金などでの移動に必要な交通費(電車代、バス代、レンタカー代、高速料、駐車場代、自家用車のガソリン代)、出張に伴う宿泊費 など

・接待交際費
営業活動上必要なパートナー企業や上顧客の接待(会食費)、手土産代、お中元・お歳暮、冠婚葬祭に伴う祝金・香典 など

・消耗品費
プレゼン資料作成に必要な文房具類、プレゼンボート、ファイル、包装材料 など(使用可能期間が1年未満かつ10万円未満のものに限る)

・広告宣伝費
リーフレット作成費用、サンプル品、粗品代(タオル・ティッシュなど)、招待費 など(BtoCに限る)

【営業コストに含まれないもの】
・旅費交通費
業務上関係ないとみなされる旅客運賃、宿泊費など
例:出張帰りに寄り道をして観光した、日帰り出張が可能なのに宿泊した など

・接待交際費
プライベートな会食、同業者団体への出資・20万円以上の加入金(資産として計上)
例:業務とは関係のない友人との集まり、同業者団体に十分な余剰金がある場合の会費 など

・消耗品費
未使用のもの、10万円以上のもの
例:使用時期が1年以上先になる消耗品、10万円以上の工具・備品 など(10万円以上の備品は減価償却の対象)

・広告宣伝費
パートナー企業・業界団体向けリーフレット作成費、BtoB向け粗品・サンプル品、支店開設に関わる費用 など
例:配布対象がパートナー企業に限定されるノベルティアイテム、支店開設のお知らせ(支店開設に関わる費用として減価償却の対象) など

IT化が営業コスト削減の軸

最も手っ取り早い営業コストの削減は人員カットです。ただ人件費の削減は効果が大きいものの、無意味なカットは社内のやる気をなくし、将来的に利益を減らすことになるのでやめたほうがいいです。

同じく営業の外注化も微妙です。通常、アウトソーシングはコスト削減をするうえで非常に効果的ですが、例外があります。その例外の一つが営業です。自分の会社の商品を売ることを考えるとき、他社に投げても売れることは基本的になく、売上が徐々に減っていきます。

そのため営業については人件費を削るのが不可能に近く、別の方法でコスト削減を考えなければいけません。そうしたとき最も効果的であり、基本的な経費削減の方法がIT化です。

見直すべきコスト

以上を踏まえた上で、営業部門において、積極的に見直すべきコストについてみていきましょう。

営業部門で見直すべきコストは以下の2つです。

・消耗品費
・旅費交通費

この2つのコストは、それぞれの相乗効果でコスト削減を実現でき、かつ効率化にもつながるため、利益率の大きな向上が見込めます。

◯消耗品費
会議や客先訪問のたびに大量の資料を作成している場合は、資料作成にかかる費用を見直しましょう。

消耗品費とは、消耗性の費用の総称で、使用可能期間が1年未満または少額(10万円未満)のものを指します。

営業の場合、主に資料作成や書類送付に使う「事務用消耗品(コピー用紙、文房具、切手など)」が支出対象となるでしょう。上記以外にも、営業資料印刷のためのインクトナーや、資料を入れるクリアファイルなども、消耗品となります。

ペーパーレスにすれば書類の保管がなくなり、印刷コストや持ち運びの手間がなくなります。また紙の書類をなくせば、中小企業であっても年間で10万円以上のコストを省けるのは普通です。例えば、紙のコストを1枚3円、パンフレットを100円とすると印刷コストを含めて以下のようになります。

紙3円 × 10枚(一人のお客さん) × 月100人 × 12ヵ月 = 3万6,000円
パンフレット100円 × 月100人 × 12ヵ月 = 12万円

もちろん、これだけでなく保管管理コストまで含めるとより金額は大きくなります。

◯旅費交通費
近場の顧客であっても、複数社の訪問のため移動すれば、交通費として1日に1,000円を超えてしまうことはあるでしょう。また、宿泊を伴う遠方の企業への訪問の場合は、1度の訪問で数万円の経費が必要になります。
全ての商談で大きな売上が上がれば費用対効果として悪いものではありませんが、売上に直結しない商談のために、毎回移動のためのお金と時間をかけているのであれば、訪問をベースとした営業を早急に見直す必要があるでしょう。

積極的にオンライン営業を活用しましょう。
オンライン営業では、移動する必要がないため、交通費は発生しません。また移動時間がなくなるため、商談後はすぐに次の仕事に取り掛かることができます。つまり、無駄がないのです。
また、同じように会議についても対面で行う意味はないため、テレビ会議を積極的に導入するようにしましょう。
通常、出張があると1日すべてを潰してしまうことになります。これが遠方であるほどコストは大きくなるため、必ずWeb会議に留めましょう。会議を対面で行う会社ほど無駄が多く、無駄な経費額が積みあがるため、これをゼロにするといいです。

まとめ

会社内で営業マンを雇うのは普通です。ただどのように営業活動をするのかによって、利用する経費額はまったく違うものになります。

多くの場合、営業マンは会社の外に出て自社の商品やサービスを提案するケースが多いです。もちろん、そのような方法でなければ売上を作れないケースもあります。しかしほとんどの場合、対面でなくてもオンラインで十分です。そうすれば、交通費や移動コストは節約できます。
またIT化をすれば会議を対面で行う必要がなくなると同時に消耗品費などのコスト削減にもつながります。
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