現在日本では、求職者に対して求人の需要が上回る「売り手市場」の状態が続いています。そのため従来よりも広告費や説明会費用といった採用コストをかけなければ、新たな人材を確保できないといったケースもあるのが事実です。
できることなら採用コストを抑えたいというのが採用担当の方のホンネではないでしょうか。
しかしながら、あらためて自社の採用方法を見直すと、コストを抑えながらも自社のニーズにマッチした優秀な人材を確保する方法があります。
そこで今回は、採用コストについての基本的なことから、実際に採用コストを削減するための方法をご紹介します。

採用コストとは

一般的に、採用コストとは採用に関する活動にかかった費用金額のことを指します。企業ごとに採用人数はさまざまなので、採用コストの削減を考えるうえでは、採用コストの総額ではなく一人あたりにかかった採用コストの単価を考える場合が多いです。 

採用コスト単価は以下の計算式で算出できます。

ですが、社員が採用活動にかけた時間や工数を費用に換算するのは非常に難しく、採用コストの総額を正確に把握するのは簡単ではありません。 

削減の目安を考えるためには、外部コスト内部コストに分けて考え、できるだけ詳細に把握するようにします。

・外部コスト
外部コストとは、求人サイトへの掲載料や人材紹介サービスの紹介手数料といった、自社以外のサービス利用にかかるコストのことです。
会社案内パンフレットをはじめとする販促物の制作費もこれに該当します。

・内部コスト
内部コストとは、採用担当者や面接官の人件費などの自社内で発生するコストのことです。
また、企業によっては応募者に対し面接会場までの交通費を支給するケースがあります。内定後に会社の雰囲気を知ってもらうために、社員との懇親会を行うこともあります。その場合にかかる交通費や会食費も内部コストに含まれます。

削減する前の2ステップ

採用コストを削減するためには、まずは①採用コストの全容を把握すること、次に②一つひとつのコストを精査することが重要です。それぞれのステップの具体的な内容について、順に紹介していきます。

①現状の採用コストの把握
まずは、現状の採用コストについての全体像を把握しましょう。
何にどれぐらい支払っているのかを、外部コストと内部コストに分類していきます。
採用コストを把握するには、Excelなどで表を作成すると全体を俯瞰して見ることができます。
②採用コストの精査
採用コストの把握ができたら、次は採用コストを精査し、見直しが必要なポイントを探っていきます。
精査方法は、募集ポジションごとに採用ターゲット、使用した採用手法、利用サービス、かけたコスト、1人当たりの採用単価を可視化します。利用する採用手法やサービスごとに特徴や利用料金が異なるため、採用単価で比較することで、費用対効果が低いと思われる採用手法やサービスを洗い出します。

実践!採用コストを削減する方法

・ミスマッチを削減
採用の現場で無駄使いと呼ばれるのが戦力になる前に退職した社員の採用費と人件費でしょう。
人材のミスマッチを防止して採用した社員が企業に貢献すれば、採用コストは無駄にはなりません。
退職時に退職原因をヒアリングして次の採用に活かしましょう。
また、求人広告の内容を再度確認して「入社前に思っていたのと違う」ということがないようにしましょう。

・求人広告媒体の見直し
広告を出している求人媒体を、定期的に見直すことも大切です。自社に適した人材が登録されているか、応募率の推移はどうかなどを確認して利用するサービスやプランを検討しましょう。
有名な求人サイトを活用するのが必ずしも良いとは限りません。掲載企業数が多いために、応募が集まらないというケースもあります。
とくに掲載自体にコストがかかっている場合には、頻繁に費用対効果を確認するようにしましょう。

・リファラル採用を活用する
リファラル採用とは、全く縁もゆかりもない人材の採用ではなく、社員の紹介など一定の「縁」のある人材を採用することです。
リファラル採用をうまく活用できれば、求人広告など外部サービスに頼らず採用活動が進められるため、費用が大幅に抑えられます。また、外部サービスが介入しないため、採用プロセスの簡略化にもつながります。
自社を理解している社員が自社に適した人材を紹介してくれるため、ミスマッチのリスクが低いのもメリットです。入社後も、紹介元の社員が自然とフォローしてくれるので定着率も高くなると想定されます。

・外注・フリーランスを活用する
採用コストの削減を考えるうえで一人あたりの採用単価を見ることが多いですが、採用人数そのものを減らし採用コストの総額を減らすことも重要です。そのために「本当にその人数を雇う必要があるのかどうか」といった原点に立ち返って考えることも大切です。
正社員にしかできない仕事は正社員に、それ以外は外注・フリーランスを活用することでよりコンパクトな業務運用ができ、人件費の面で大きなメリットが得られる場合があります。
とくに個人フリーランスは正社員と違って、福利厚生費、法定福利費などがかからず、また必要に応じた業務量で発注ができるため、正社員よりも低コストで活用できるというメリットがあります。

まとめ

今回は採用コストとは何か、そして具体的な採用コスト削減の方法についてご紹介しました。採用コストはただ単純に削減すればいいというものではありません。ムダなコストを削減しつつ、優れた人材を確保することが本当の目的です。適切なターゲットに適切にアプローチすることで効率的な採用活動ができるようになり、結果としてコスト削減につながります。このことを忘れずに、採用コストの見直しをして採用成功につなげましょう。


弊社では、業務効率化・コスト削減を目指すお客様のサポートを行っております。ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。