企業経営では「何を」「誰から」「どうやって」「いくらで」「どれくらい」購入しているか、いわゆる「コスト」を正確に把握しながら、最適化を図ることが重要になります。そこで欠かせないのが「支出分析」です。コストを様々な軸ごとに整理して分析することで、問題が明確になり、より良い改善策を考えやすくなります。
しかし、企業が持つ膨大な支出データを1から分析することは簡単ではありませんし、誤った方法で始めると労力が無駄になってしまう可能性もあります。どのような切り口で分析すべきか、はっきりと定義してから分析を始めることが重要です。
そこで今回は企業の支出分析に関してご紹介します。
支出分析とは
支出分析とは、企業の調達や購買に関するデータを収集し、「何を」「誰から」「どうやって」「いくらで」「どれくらい」購入しているか、を分析することです。
支出分析をすることにより、自社が抱えているコストを正確に把握し、最適化を図ることができます。
支出分析はまず、企業の財務会計データを収集します。一般的にはそれらのデータをエクセルで管理し、あらゆる軸で分析しやすいようにデータを加工します。エクセルでの管理は属人的なものとなりますが、最近ではこれらの過程を任せることができる支出管理ツールも登場しています。

支出分析を行うメリット
メリット① 支出構造が明らかになり、コスト削減へ効率的に取り組める
購買活動におけるコスト削減を目指すためにはまず、「何を」「誰から」「どうやって」「いくらで」「どれくらい」、購入しているのか。加えて「「誰が」「いつ」「どのように」発注しているのかを明らかにすることがとても重要です。支出分析を通じてこうした支出構造を視覚的に理解することになり、コスト削減のためにどの取引先を選び、何を削るべきなのかが明確になります。
メリット② 購買業務やプロセスが可視化され、簡素化が図れる
支出分析を通じて複雑な購買業務を可視化することができます。購買活動におけるコスト削減では単価削減や取引先との交渉だけでなく、社内の購買業務に携わる社員の人件費削減も取り組みとして含まれます。そのために購買業務を可視化し、購買プロセスを組み換えたり、統合することで、プロセスを簡素化して人件費削減が期待できます。

メリット③ 発注者を特定した同一品目の発注を統一することで単価削減が狙える
社内で複数の社員が同一品目を個別に発注している場合、大口発注による単価削減が期待できません。また、同一品目を発注してるにもかかわらず物流コストが余計にかかってしまうため、支出分析を通じて発注者を特定し、同一品目の発注を統一することで単価削減が狙えます。
コスト削減に支出分析が欠かせない理由
その① 網羅的・客観的にコストのムダを特定できる
コスト削減に取り組む際、どのコストから手を付ければよいか、何をもとに判断すればよいのでしょうか。
このような判断基準が分からず、やみくもにコスト削減に取り組んでしまうと、「社員にとって目につきやすいコストばかりに気を配ってしまう」という状況にもなりかねません。
例えば、比較的目につきやすいコピー費には何度もコスト削減に取り組んでいても、あまり触れられないサーバー費は取り組んでいない、という状況はないでしょうか?これでは、「社員から目につきやすい」といった主観的な要因によりコスト削減の対象を判断しており、最も削減効果の見込めるコストに取り組んでいるかがわかりません。
今までの支出データを分析することで、網羅的にコストの状況を判断することができるため、客観的にコスト削減の優先度を決めることができます。
その② 社員のコスト削減への意識を高めることができる
支出分析をすると、コストが見える化され、常にモニタリングすることができるため、コストを意識しやすくなります。
コスト削減プロジェクトのビフォーアフターを比較しやすくなるため、設定された目標や企業全体で得られたコスト削減効果を、成果として全社員に対して分かりやすく共有できます。これにより、「成果が目に見えづらい」というコスト削減特有の問題を解決でき、モチベーションアップにつながります。

その③ リバウンドを防ぐことができる
コスト削減は、取り組みをやめると「リバウンド」してしまう場合があります。このような時に、支出状況を適切に把握しておけば、瞬時にリバウンドに気付き、原因を分析することができます。常日頃からコストを把握することで、瞬時にコストを最適化できるようになります。
その④ サプライヤーの管理が容易になる
支出を細かく分析することで、自社が現在どこから調達しているのかが把握できます。これは、サプライヤーを管理するうえでも非常に重要です。
どこから調達しているのかをいつでも確認することができるので、調達で何か問題があったとき、どのサプライヤーとのやり取りに問題があったのかが特定できます。
まとめ
購買におけるコストの構造を理解し、費用を削減できる部分と増加すべき部分を明確に区別することで、単なるコスト削減ではなく購買・調達における付加価値の創出も期待できます。皆さんもぜひ、この機会に支出分析を学び取り組んでみましょう。

弊社では、業務効率化・コスト削減を目指すお客様のサポートを行っております。ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。